時効を問い直した足利事件 廃止の流れ進む(産経新聞)
「足利事件」の再審公判は、冤罪(えんざい)をめぐる問題だけではなく、「時効」についても改めて問い直す契機となった。菅家利和さん(63)の無罪は真犯人の存在を示しているが、菅家さんが犯人とされてきた女児殺害事件はすでに時効が成立し、真犯人を発見しても刑事罰に問えないからだ。
「時効になってしまったかもしれないが、絶対に許せない。真犯人に時効があってはならない」。昨年6月、釈放された菅家さんは会見で声を震わせた。
当時、菅家さんが逮捕された別の女児殺害事件の被害者も「事件はまだ解決していない」と話す。しかし、事件はすでに時効を迎えている。
平成17年1月施行の改正刑事訴訟法では、殺人など最高刑が死刑に当たる罪の時効が25年に延長された。それでも、時効の壁は被害者や遺族の前に冷たく立ちはだかってきた。
昨年2月、「世田谷一家殺害事件」の遺族ら未解決殺人事件で肉親を奪われた遺族を中心に「殺人事件被害者遺族の会(宙(そら)の会)」が結成され、殺人事件の時効廃止を訴えてきた。
政府は昨年、法務省内に勉強会を設置し、時効の見直しを検討。民主党政権でもその流れは受け継がれ、今月12日には、凶悪重大事件の時効を見直す刑事訴訟法改正案を閣議決定。今国会での成立を目指している。
改正案では、人を死なせた罪のうち、殺人など最高刑が死刑の罪は時効を廃止し、懲役・禁固の罪は一部を除き期間を2倍に延長する。過去に発生した事件でも、施行時点で時効が未成立なら適用される。
ただ、長期の捜査の末に起訴された場合、証拠の劣化や事件関係者の記憶の消失が進み、裁判での立証が困難になることや、捜査の長期化によって増大する“コスト”の問題などを指摘する声もある。
【関連記事 足利事件再審】
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平成17年1月施行の改正刑事訴訟法では、殺人など最高刑が死刑に当たる罪の時効が25年に延長された。それでも、時効の壁は被害者や遺族の前に冷たく立ちはだかってきた。
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ただ、長期の捜査の末に起訴された場合、証拠の劣化や事件関係者の記憶の消失が進み、裁判での立証が困難になることや、捜査の長期化によって増大する“コスト”の問題などを指摘する声もある。
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